■プロローグ(introductory chapter)
冷たい風を震わせて、歌が聴こえてきた――夕暮れの音楽室で俺が奏でるギターに合わせるように。
隣の教室で顔も知らない誰かが奏でるピアノに合わせるように。屋上から響いてきた、鈴が鳴るように高く澄んだその声は、
バラバラだった俺たち三つの旋律を繋いでくれた。始まりは、そんな晩秋。
そのとき、誰かが誰かに恋をした。誰もが一生懸命だった。
誰もが強い気持ちで突き進んだ。
誰もが、ひたむきに、まっすぐに、正直に――
心の底で結ばれ、かけがえのない瞬間を手に入れた。だからそのとき、誰かが誰かに恋をしてしまった。
一足遅れの、してはいけない恋を。そして冬――降り積もる雪は、すべての罪を覆い隠し。
やがて春――雪解けと共に、すべての罰を下す。■プロローグ(closing chapter)
冷たい風を震わせて、歌が聴こえてきた――夕暮れのキャンパスに、誰もいない学食に、寂しげな校舎の窓辺に。
三年前に凍らせたはずのあの歌が。
情熱に突き動かされ、純粋な想いを綴った、欺瞞の歌が溶けてゆく。あの、三人だった冬も今は遠く、
一人と一人の季節を何度も繰り返し。続きは、そんな晩秋。
あの時引きちぎろうとした絆の、醜い傷痕が乾くこともなく、
けれど、何かが変わる予感とともに始まっていく。寂しい二つの旋律は、互いを惹きつけ傷つけて、
そしてまた、新たな旋律を呼び寄せる。もうすぐ、新しい冬が来る。
あのひとといられない、そしてあいつのいない冬が。ホワイトアルバムなんて知らない。
だって、もう何も歌えない。届かない恋なんてしない。
FANZA
だって、もう人を愛せない。
ブランド | リーフ(公式サイト) |
発売日 | introductory chapter 2010年3月26日 closing chapter 2011年12月22日 |
原画 | なかむらたけし 本条たたみ 桂憲一郎 柳沢まさひで 甘味みきひろ |
シナリオ | 丸戸史明 企画屋 |
音楽 | 石川真也 中上和英 松岡純也 衣笠道雄 上原れな 津田朱里 小木曽雪菜 |
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