
Tarteより、2007年1月発売のアダルトPCゲームです。
2000年代にリリースされたこの作品ですので、絵やシステム面等に、古めかしいイメージがあるかもしれませんが、他のゲームにはあまり見られない、独創的で精巧な演出が盛りだくさんです。例えば、画面表示を工夫したり、拡大してイラストを移動させたり、3人以上が会話する場面では中央にキャラクターを表示しないなど、斬新な手法が使われています。
物語の展開において、多くの群像劇で問題となる視点の切り替えが非常にスムーズで、ゲームを途中でやめるのが困難なほどです。会話が自然に流れるように見えますが、ストーリーを理解した上で読むと、テキストに込められた意味の深さに驚くことでしょう。
この記事の目次
あらすじ・概要・サンプル画像
‘シロハネ編’ストーリー
物語は、セロが白銀の村へココを連れて行く旅に、友達のワカバとその弟ライトが同行するところから始まります。
セロの目的はココのメンテナンスですが、同行するワカバは勢いでエントリーしてしまった演劇祭のため、脚本を書きながら各地で役者を探そうと画策中。
それはいわくつきの悲劇『天使の導き』と全く正反対のハッピーエンド版で、史上最大の逆賊と名高いアインが『実は良い人だった!』というトンデモな内容。
そんな代物だけに、「役者すら見つからないのでは?」と不安を抱えながらも、偶然か運命か、主役にふさわしいアンジェリナやベルを見つけて大はしゃぎ。
果たして、ワカバたちは無事にアンジェリナたちを仲間に入れて、劇を成功させることができるのでしょうか?‘クロハネ編’ストーリー
ふかふかのベッドで目覚めたココは、そこが自分の知らない部屋であることにビックリ。
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どうしてこんなところに居るのか知るために部屋を出て探検を始めれば、どうやらお城の中のようです。
そのうちココは迷子になってしまい、廊下で誰かが来るのを待ってみます。……と、そこに現れたのは白いドレスに身を包んだ
キレイなお姫様・クリスティナと、白い羽根の人形・エファでした。
その後ココは、お城に居る色々な人たちとお話をします。
そして自分が人形であり、クリスティナやエファと共に『天使の羽ばたき』という劇をすることなどを知ります。
やがて、お姫様やエファと練習を重ねた『天使の羽ばたき』のリハーサルを迎えますが――この劇には、誰もが予想しない……大きな陰謀が隠されていたのでした。
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音楽
「Alea jacta est!」Rita
「it's just farewell」Rita
「Memories are here」観月あんみ
個人的感想
シロハネ編。
この章は、のどかな雰囲気や身近な会話が特徴です。
私のお気に入りは、MAP機能です。MAP機能がなくても何も問題はありませんが、地図を見るとわくわくしますし、どこへでも行けるという気持ちになります。その世界観に浸ることができます。夏の楽しい旅行は、最高でした。
クロハネ編。
エファと姫の掛け合いや言い回しが、古典的な戯曲のようで好きです。悲しい恋物語が好きなので、すべてに心が揺れ動きます。
ヴァレリーのキャラクターをもっと深く理解できることを楽しみにしていました。『後の時代は、理想にではなく現実にだけついてくるもの』という言葉がとても好きです。しかし、実際には小賢しいだけで残念でした。
個別ルートはあまり詳しくなく、「終わり!?」という感じになります。
アンジェリナとワカバの個別ルートは、短すぎると感じます。もっと見たいと思うほどの長さではなく、情感が湧く余裕もありません。
ですが、デュアの別れ、姫とエファ、そしてアインの最期、そしてじぃじの別れは、かなり印象に残っています。
特に心を打たれたのは、最後のココの「アイン。……バイ、バイ」というセリフです。その一言に、クロハネの全てが詰まっているように感じました。